海外にはキレイな海がたくさんありますよね。
透き通るコバルトブルーの海と、白い砂浜のコントラストは感動するほど美しいです。
日本にもキレイな海はありますが、正直、濁っている海もけっこうあります。
実際に海水浴にいったら、思った以上に汚いと感じた方もいるかもしれません。
同じ海なのに、なぜあんなに差がでるのでしょう?
その理由は、海の生き物や、日本の排水事情が関係しています。
今回は、キレイな海と汚い海の違いや、それぞれのメリットについてもお話いたします。
海水浴が汚い!濁って見えるのはプランクトンの多さ
汚い海は近くに工場があるイメージですが、周りに何もなくても濁っている海水浴場はありますよね。
その原因の一つがプランクトンです。
日本の北から南下してくる親潮は栄養豊富で、プランクトンがたくさんいます。
海底まで太陽の光が届いていれば、海は透き通って見えるのですが、海中にプランクトンが多いと、光が乱反射して濁って見えてしまうのです。
一方、南から北上してくる黒潮は栄養が少なく、プランクトンもあまりいません。
沖縄の海が透き通ってキレイに見えるのは、このためです。
一見すると「プランクトンさえいなければ…」と思うかもしれませんが、悪いことばかりではありません。
それは、エサとなるプランクトンを求めて、さまざまな魚が集まるということです。
日本ではあたりまえのようにお刺身を食べますが、海外では生魚を食べる習慣のない国もありますよね。
海水浴へ行って海鮮料理を食べたり、おみやげに干物を買う方もいるでしょう。
親潮と黒潮のぶつかる三陸沖は、世界三大漁場とも呼ばれています。
プランクトンを食べる小魚や、その小魚を食べる大きな魚も集まり、世界的にも良質な漁場となっているのです。
沖縄の海はキレイですが、ご当地グルメに魚料理を思い浮かべる方は少ないと思います。
ここで少し悲しいことに気付いてしまいました。
童話「浦島太郎」に出てくる竜宮城は、澄んだ美しい海中に描かれることが多いですよね。
浦島太郎は漁師ですから、魚については目も舌も肥えていた可能性があります。
そんな浦島太郎にとって、竜宮城で出されたおもてなしの魚料理はイマイチだったのでは…?
帰りに玉手箱を持ち帰った浦島太郎ですが、おとひめ様にはおすすめの漁場のメモを残していったかもしれませんね。
プランクトンが多いおかげで美味しいお魚を食べられると思えば、濁っていても許せます。
海を浄化するサンゴ礁
日本の美しい海の代表的な場所は沖縄ですよね。
サンゴ礁と色とりどりの熱帯魚が泳いでいる、と想像する方もいるでしょう。
映画で有名になったカクレクマノミを見るために旅行した方もいると思います。
沖縄の海の透明度の高さは、先に述べたように南からの黒潮が流れ込みプランクトンが少ないためでもありますが、サンゴ礁も影響しています。
サンゴは魚の住み家や産卵場所になっていると同時に、海の浄化も行っています。
動物であるサンゴですが、細胞内に褐虫藻(かっちゅうそう)を共存させて光合成しているのです。
海中の二酸化炭素を吸収し、酸素とミネラルを出して海をキレイに保ってくれています。
そしてサンゴの死骸は白くなり、粉々に砕けて砂になります。
海底に積もったサンゴの白い砂が太陽の光を反射して、鮮やかな青い海に見せるのです。
サンゴ先輩、優秀すぎます!
海水浴場が汚い原因~生活排水と産業排水~
海が汚い理由は自然の影響だけでなく、残念ながら人が原因でもあります。
台所やお風呂・トイレなどから流れる生活排水と、工場や農場から出る産業排水です。
きちんと浄化してから流しているところもありますが、古い建物だとそのまま排水している場合もあります。
水質が悪くなれば健康被害だけでなく、魚が減ったり、観光客の足も遠のいてしまいます。
油は固めて処理したり、必要以上に洗剤を流さないなど、できることから取り組むことが大事です。
海水浴でも、海で食器を洗わずに、キッチンペーパーなどで汚れをふき取りましょう。
何事も塵も積もればですから、小さなことから意識したいですね。
海に潜ってゴミ拾いや、浜辺の清掃活動をするイベントもありますので、家族や友人を誘って参加するのも良いのではないでしょうか。
キレイな海も実は汚い
キレイな海と汚い海について話しましたが、どちらも雑菌だらけで不衛生です。
その中でも、海中にいるビブリオ菌が原因で、腹痛や下痢を引き起こす場合があります。
多少であれば体内の菌がやっつけてくれたり、便で排泄されるので1日程度で治りますが、数日たっても改善しなければ病院を受診しましょう。
下痢止めを飲んでしまうと、体内からビブリオ菌が排出されずに留まってしまうので、服用は控えてください。
下痢になると脱水状態になるので、水分補給も忘れずに!
食事の前に手を洗ったり、海から上がったらシャワーを浴びて、菌を洗い流すのが大切です。
傷口から菌が体内に入って感染症になる恐れもあるので、ケガをしている場合は海に入らないようにしましょう。
泳ぐときはゴーグルの着用をおすすめします。
海水と一緒に、砂やゴミなどの異物が入る可能性があるからです。
もし目に入ってしまったら、水で軽く洗い流してください。
水で洗いすぎると、目に必要な成分まで流れてしまうので要注意です。
生理食塩水で洗うのが一番なのですが、コンタクト用や子供用の目薬でも代用できるので、ひとつ持っておくと安心ですね。
海水浴場は汚いのはなぜ?【まとめ】
キレイな海も汚い海も、それぞれのメリット・デメリットがあります。
プランクトンが多ければ濁って汚いですが、美味しい魚がたくさん食べられます。
透き通ったキレイな海は美しいですが、漁場には向いていません。
人間が原因で海洋汚染している面もあるので、できることから環境に配慮した生活を心がけるのが大切です。
各県などで海水浴場の水質調査結果をホームページで公開しているので、どの海水浴場に行くかの参考にするのも良いかもしれません。
しかしどこの海にも雑菌は多いので、海から上がったら必ずシャワーを浴びましょう。
健康にも環境にも気を付けて海水浴を楽しみたいですね。