ロックインジャパンは、2000年にスタートした日本最大級の野外ロックフェスティバルです。
当初、会場は茨城県ひたちなか市の国営ひたち海浜公園で、毎年8月に開催されてきました。
しかし、新型コロナウイルスの影響により各地で音楽フェスの中止が相次ぎ、2020年と2021年は開催中止となりました。
ひたちなか市で20年間にわたって開催されたロックインジャパンは、2019年が最後の開催年となり、2022年からは会場を千葉県千葉市蘇我スポーツ公園に移し、開催されることになりました。
この記事では、ロックインジャパンのひたちなかでの開催が最後になってしまったのはなぜなのか、会場を変更した理由、そしてひたちなかと千葉の会場の違いについてまとめました。
なぜロックインジャパンは会場をひたちなかから千葉に変更したのか?
ロックインジャパンの総合プロデューサーである渋谷陽一氏は、会場をひたちなかから千葉に変更した理由について、「ひたち海浜公園では、万全な感染症対策を行うことができない」とコメントしていました。
ひたち海浜公園のメインステージであるグラスステージは広大な芝生上に設置され、7万人のお客さんを収容できます。
しかし、それ以外のステージは6つほどありますが、いずれもグラスステージの数分の一程度のキャパシティしかありません。
ステージ間の移動は、公園の細い歩道を道なりに列をなして歩き、特に人気のあるアーティストが出演するステージには多くのお客さんが集まり、入場規制になることもありました。
「何万人もの参加者が密にならず、移動もほとんどしない環境をつくることは、国営ひたち海浜公園では不可能だった」と渋谷氏はコメントしています。
一方、千葉市蘇我スポーツ公園は、5万から6万人を収容できる大きなライブエリアがあり、そこに2つステージを設置することができます。
さらに、2万から3万人を収容できる別のライブエリアにも2つのステージを設置することができます。
そして、これらのライブエリアは数分で移動できるため、密を回避しながら野外フェスを開催することができると判断し、会場の変更が行われました。
2023年も会場は引き続き千葉市蘇我スポーツ公園に決定したため、ひたちなかでの開催は事実上最後となりました。
ァンの間でささやかれる会場変更の本当の理由は、茨城県医師会?
一方、ネット上では、ロックインジャパンの会場変更は、茨城県医師会の影響ではないかという噂が広まっています。
2021年、ロックインジャパンは感染防止対策としてステージ数を従来の7ステージから1ステージに減らし、参加者を半数以下に制限して開催する予定でした。
しかし、開催直前の2021年7月上旬に、茨城県医師会が開催中止を要請し、その要請を受け入れる形でロックインジャパンは急遽中止となりました。
渋谷氏はこの状況に対して「ここまでやっても開催は受け入れてもらえないのだ」とコメントしていました。
一方で、2020年のカウントダウンジャパンと2021年のジャパンジャムは、千葉県で感染症対策を講じながら開催されました。
なんとか開催しようとしたロックインジャパンを受け入れなかった茨城県ではなく、良好な関係性・協力体制を築けている千葉県に会場が変更され、ひたちなかでの開催が最後となってしまったのは、当然の成り行きなのかもしれません。
ひたちなかと千葉の違いは?
2022年に引き続き、2023年もロックインジャパンフェスの会場が千葉市蘇我スポーツ公園に決定しました!
新しい会場がどのような場所か、ひたちなかと千葉の違いをアクセスと会場設営の点でみてみましょう!
*アクセスの違いは?
千葉市蘇我スポーツ公園の最寄り駅はJR蘇我駅で、東京駅から快速で45分、そこから徒歩8分で到着します。
また、無料のシャトルバスがJR千葉駅から約20分、JR千葉みなと駅から約15分、京成線千葉寺駅から約12分で利用できます。
ただし、車での来場は禁止となっています。
一方、ひたち海浜公園の最寄り駅はJR勝田駅で、上野駅から特急で80分、最寄り駅から会場までは7km以上あり、徒歩で行くことは難しいです。
シャトルバスに乗っていると、歩いて会場に向かっている猛者をよく見かけますが、真夏の炎天下の中で大きな荷物を持って7kmも歩くので、会場到着時には疲れ切ってしまうのではないかと心配になったこともあります。
シャトルバスは有料(片道400円)で、JR勝田駅から約20分、JR水戸駅から約40分で利用できました。
アクセスの大きな違いは、千葉市蘇我スポーツ公園では車での来場が禁止されており、公共交通機関を利用する必要がある点です。
ただし、無料のシャトルバスが複数の駅から運行しており、最寄り駅からは徒歩圏内であり、終電にも余裕があるため、アクセスの良さは断然千葉市蘇我スポーツ公園であると思います。
*会場設営の違いは?
すでに述べたように、ひたち海浜公園と千葉市蘇我スポーツ公園では会場設営が大きく異なります。
ひたち海浜公園では、広大な敷地内をぐるっと周るように、メインステージのグラスステージをはじめ、7つのステージが設営されていました。
しかし、ひたち海浜公園では会場内の移動に難があり、この点が会場変更の一因となりました。
たとえば、メインのグラスステージから反対側のレイクステージまで移動するのに、15分以上かかることもありました。
そのため、見たいアーティストがかぶったりしていると、前のステージを早めに切り上げて移動したり、次のステージに遅れて到着することもありました。
一方、千葉市蘇我スポーツ公園では、ステージ間の移動は広い導線を数百メートル歩くだけで済みます。
移動に多くの時間を割かずにたくさんのライブに参加できるため、多くのアーティストを楽しみたい場合は千葉市蘇我スポーツ公園の方が向いているといえます。
もう一つ大きな違いを挙げるとすれば、千葉市蘇我スポーツ公園ではロックインジャパンの魅力のひとつでもあったテントエリアがなくなりました。
ひたち海浜公園の木々が生い茂る自然の中に囲まれた会場内にテントエリアが設けられており、そこでゆっくり音楽を楽しんだり、休憩する人がたくさんいました。
また、テントがなくても、木陰がところどころにあり、そこで休憩することもできました。
さらに、有料ですが、ひたち海浜公園内には観覧車があり、冷房が効いて快適でした。
観覧車に乗って涼みながら、上から広大なグラスステージの様子を眺めることもできました。
千葉市蘇我スポーツ公園ではテントエリアがなくなりましたが、芝生が綺麗に整備されており、人がいなければ座って休憩することもできるようです。
*いくつか違いを挙げたけれども…
いくつか会場の違いを挙げましたが、ひたちなかにはひたちなかの良い点があり、千葉には千葉の良い点がたくさんあります。
フェスの会場変更には、必ず賛否が存在します。
会場変更に批判的になるのではなく、これから続くであろう千葉市蘇我スポーツ公園で、ひたちなか以上の素晴らしいフェス会場をみんなで築き上げていきましょう!
ロックインジャパンがひたちなかで最後に開催されたのはいつ?【まとめ】
いかがでしたか?
なぜロックインジャパンが会場変更になったのか、そして新しい蘇我市スポーツ公園について、少しでも伝わったでしょうか。
新型コロナウイルスも5類感染症に引き下げられ、音楽フェスの規制も緩和されて徐々に以前の日常に戻りつつあります。
渋谷氏は「ひたちなかとロックインジャパンの歴史をつなぐためにも、25周年、30周年といった年でのひたちなか開催を模索したいです」とコメントしていました。
25周年の年である2年後、開催地はどこになるのでしょうか。
ひたちなかでの開催が最後にならないよう、あの場所に詰まった多くの思いが消えないよう、ぜひとも再びひたちなかで開催してほしいと願っている茨城県民の筆者でした。
最後になりますが、千葉市蘇我スポーツ公園でのこれからのロックインジャパンが成功し、ひたちなか以上の素晴らしいフェスになることを祈っています。